トレックが誇る究極のレースバイク、マドンが第7世代にフルモデルチェンジ。エアロフレームは複雑で未来的な形状に、快適性の要だったIsoSpeedは、新たに“IsoFlow”へと進化しました。
トレック・セガフレード チームからの要望、“さらに速く、そして軽く”という要望に応え、トレックはOCLV800カーボンを開発。このカーボン素材は、以前のものより軽量かつ強度の高いものでした。更にアワーレコードを樹立した世界最速のTTバイク”スピードコンセプト”の開発で用いた風洞実験で、乗り心地を維持しながら、空力性の向上と軽量化へと導く、新たなIsoFlowテクノロジーと、一体型ハンドルバーを採用しました。
結果、新型マドン SLRの重量は300g軽くなり、空力においては19Wのパワーが 節約され、1時間あたり60秒短縮*する新次元の速さを手に入れたのです。(*第6世代のMadoneで時速45キロ走行時と比較)
OCLV800
今回のフレーム開発を語る上で欠かせないのが、OCLV800カーボンの存在です。OCLV700に比べて強度が30%高まった OCLV800は、軽く空力に優れたデザインが可能となりました。チームが求める“より速く、軽く”を OCLV800で実現するため、トレックはフレームデザインの開発を進めました。
世界最速へと導いた 風洞実験
2022年5月、エレン・ファン・ダイクがTTバイク“スピードコンセプト”で世界新記録と なるアワーレコードを樹立。世界一の空力性能であることが名実ともに証明されたのです。今回のMadoneの開発においても、スピードコンセプトと同様に、ライダーが乗車しボトルが装着していることを想定しフレーム設計に挑みました。空力に影響するあらゆる 要素を取り入れたことで実際の状況を忠実に再現し、速さを追求したのです。
ISOFLOW TECHNOLOGY
新型マドンのデザインで目を引くのが、シートチューブ部に設けられた新たなIsoFlowテクノロジーです。この特徴的な空洞は、先代マドンと比較し空気抵抗となる気流の渦を軽減。空気の流れ、すなわち flow(フロー)が乱れることなく空力性を高めることが出来ます。
先代マドンとの比較、IsoFlowの空洞により、気流の乱れが減少。 【解説】バイク正面から受ける気流(緑色線)の変化が無いほど乱れが少ない。
新たな一体型ハンドルバー
バイクとライダーは前進するため、空力が最も影響を受けるのは気流が最初に当たる正面です。新たな一体型ハンドルバーは、ブラケット幅を3cm狭くすることで、ライダーポジションが抵抗を受けにくくになり、エアロ性能がさらに高まりました。ドロップポジションでは幅広なため、コントロール性を高めることが可能です。
第7世代は、つなぎ目が無いシームレスデザイン。高い空力を発揮し、部品も少ないため軽量化に貢献しています。
先代モデルと比較して300グラムの軽量化
新たなIsoFlowテクノロジーと一体型ハンドルバーが、それぞれ約150g、バイク全体で合計300gの軽量化を実現。わずか300gと思われるかもしれませんが、重量7キロ台前半のハイエンドバイクで、僅か1年の間に更に300gを削り取ることは容易ではないのです。
フレームに秘められたメッセージ
第7世代のMadone SLRのトップチューブとシートステイのつなぎ目を横からよく見てみると、数字の「7」が描 かれています。これは、まさしく“第7世代”であることを伝えています。